建設業界は、昔から、「きつい、汚い、危険」の3Kと言われ嫌われてきました。さらに、「帰れない、給料が少ない、カッコ悪い」などが加わった6Kと言われることもありました。
近年、働き方改革などが行われて、どの業界も勤務時間が短くなったり、休日出勤が減ったりと、改善されてきているものの、まだまだ建設業界はブラックであると言われることも多いようです。
そんな建設業界で働く私が思う、建設業界の地獄について、書いてみたいと思います。
目次
施工管理のここが辛い①現場の気温
まず、始めにあげたいのが、現場の寒さと暑さです。「なんだ、たいしたことないな」と思われたあなた。私も始めはそう思っていました。
建設現場は、室内のこともありますが、空調がきいていて、快適な気温の中で、工事ができるということは、ほぼないでしょう。屋外の場合は、さらにきついです。寒さと暑さにダイレクトで影響を受けます。これが一日中なんです。結構きついです。
暑いからと言っても、現場では、安全のため、長袖、長ズボンでの作業が基本です。ろくに動かない現場監督でも、ただ立っているだけで汗がだらだらです。
自分の体臭で倒れそうになるほどに…です。もちろん、とても疲れます。熱中症にも注意が必要です。自分だけでなく、協力会社の方々の体調管理も必要です。
では、寒い方がましかというと、そんなこともなく、これまた現場監督は寒いのも辛いのです。防寒対策は万全で出勤します。もちろんのことですよね。
でもですね、時間とともに、寒さが身にしみてきます。まず、足先がじんじんします。鼻先とか、指先とか、末端が冷えてきます。そのうちに、震えが起きてきます。私は、人間って寒くなると自然と震えるんだと、冬の現場を経験して初めて知りました。
ここで、もしかしたら、防寒がちょっと足りなかったのかもと思っても、もう遅いんですよね。仕事が終わるまで、あと1時間ほどでしたら、我慢できるかもしれません。でもね、
まだ仕事が終わるまで、半日もある…なんて時は、もう地獄です。体中ががたがたと震えてしまいます。こんな時は、温かい飲み物を飲んだりして、なんとか頑張るしかないです。防寒着は、多いに超したことはないです。十分すぎるほど、用意したいものですね。
施工管理のここが辛い②終わりが見えない現場
次にきついのは、「終わらない」です。何が終わらないって、工事です。工事は通常、「いつまでに終わらせて下さい」という工期があるのですね。
もちろん、終わることが可能な日程で予定を組むわけですが、発注者、顧客の都合で、「いついつまでには建物が完成していないと困るんです!」というさまざまな事情のために、そもそもちょっと厳しい日程の工事もあります。
工事は、すんなりいく時は、予定通りに進んでいきます。しかし、天候不良が続いたり、材料の調達の都合だとか、関連のある別発注の工事、設計や仕様の変更など、予期しないことが、起こることも珍しくありません。そうすると、「いつ終わるんだ」、「どうなってるんだ」と上からの圧力が強まります。これも現場監督の辛いところです。
普通、地場ゼネコンとはいえゼネコンの仕事は、施工管理ですから、実際の工事をしてくれるのは、協力会社さんです。だからですね、急かされても、結局、何もできないんですね。同じように協力会社さんに、「いつまでに終わるんだ」と圧力をかけたり、今後の工程を無駄なく効率よくできるように、と以前と変わらずに取り組むしかないわけです。
その自分の無力さに、地獄を感じます。協力会社のみなさま、いつもご協力ありがとうございます。
施工管理のここが辛い③大量の書類作成
建物は完成したらそれでいいんじゃないか、と言いたくなったりするのですが、そうではないんですよね。施工管理の大事な仕事として、書類作成というものがあります。これがですね、地味に辛いです。現場から汗だくになって帰ってきても、書類作成をしないといけないのです。
必要な書類は、公共工事で見るとわかりやすいですね。工事が始まると、工事届、打合せをすれば議事録、工事の前には、施工体制台帳に、工事ごとの施工計画、工程表、施工図。工事が始まると、毎日の日報に、実施工程表、写真台帳。工事が完成すると、完了報告書。最後にこれらの書類をまとめて納品です。地味に現場監督の辛いところです。
その上、工事中に小さなことでも事故があった時には、事故報告書なんてものもありますね。「なぜこんなことになったのか」、「今後どのような対策をするのか」など、写真と合わせてまとめます。事故は誰かが危険な目にあったり、けがをするだけでなく、こんな面倒な仕事を増やすことにもなるので、絶対に避けたいです。
施工管理のここが辛い④必ず回ってくる朝礼
ここからは施工管理職の人が嫌な朝礼について買いていきます。
朝礼は一週間の当番制で必ず出番が回ってくる仕事の一つですよね。
建設現場で大事なこと
建設現場で大事なことは何でしょうか?いろいろあると思いますが、まず「安全であること!」ではないかと思うのです。
建設現場での、あらゆる事故は、決して珍しいことではありません。事故は、たまたま起きるのではなく、安全管理が徹底されていなかったために、起こるものなのだと思います。けがはもちろん、死亡事故など、絶対に起きないように、毎日気を引き締めていなければなりません。
次に大事なことは、何でしょう?これまた、いろいろありますが、工程管理ではないかと思います。工事には、工期があり、いつまでに完成しなければならないという制約があります。
安全と工程、これらを大事にしようとすると、時々矛盾してしまうようなことも出てきます。例えば、「安全を重視すると、工期が遅れてしまう」、「工期を重視すると、安全が確保できない」などです。
これらは、毎日、刻々と変化する建設現場において、複雑に絡み合っているので、基本的には、安全、工程と両方のことを大事にしながら、優先順位をつけて作業を進めていかなければならないわけです。そのために、毎日の朝礼があるのですね。
朝礼で話すべきこと
朝礼で、何を話さないといけないのか、話すべきなのか、少しずつはっきりとしてきたのではないでしょうか。
まずは、工程についてです。今日はどんな作業をする予定なのか、それぞれの作業員さんに話してもらいましょう。
現場の中では、さまざまな種類の作業が同時進行で行われています。まったく関係のない作業もありますが、思わぬところで影響が出てきて、支障が出るような作業もあります。
今日一日、共にする現場の中で、自分が何をするのか、他の人は何をしているのか、現場監督はもちろん、作業に関わる人たちにも知っていてほしいのです。
次に安全に関することです。それぞれの作業員さんの、今日の作業内容について把握したら、安全に配慮して、「何に注意しなければならないのか?」、「今日の作業では、どんな危険があるのか?」を話しましょう。毎日共通して言えることもあるでしょう。昨日と似たようなこともあるでしょう。でも、毎日繰り返して伝えましょう。
一日一日、現場の状況は変わっています。大事なのは、その変化に合わせて、新たな危険を察知して、現場の関係者に、注意を促していきましょう。だって、危険ですから。命に係わることですからね。
朝礼で話すとよいこと
ここまで、朝礼で話すべきことについて書いてきましたが、その上で、こんなことも話すといいかもということについて書いてみます。
建設現場には、多くの人間が関わっています。一日しか会わない人もいれば、毎日のように顔を合わせる人もいるわけですが、みんなで一つのものを作り上げているのですよね。だから、協力し合うこと、団結すること、仲良くすることなんていうことも大事になってきます。
だから、話すべきことだけ話していても、ちょっとつまらない、堅苦しい雰囲気になってしまうと思うのですよね。必要以上に笑わせたり、ふざけたりする必要はありませんが、少しのユーモアとか、役立つような雑学や時事ネタなんかをちょこちょこおりまぜながら、新鮮さも忘れないようにしたいですね。
そうでないと、毎日毎日同じようなことしか話すことがないので、結局みんなろくに聞いてなかったなんてことにもなりかねませんからね。ユーモアと新鮮さを意識してみて下さい。
ただし、これは、朝礼の上級者の場合です。まずは、話すべきことをしっかりと話すということをしてみましょうね。それがうまくできるようになってから、試してみてほしいなと思います。
人の朝礼を真似をしてみよう
朝礼についてわかったけれど、やっぱり何を話せばよいのかわからないなんて人もいるかもしれません。他の人の朝礼を見ることができる人は、それを参考にしてみるとよいでしょう。そして、まねをしてみましょう。一番上達が早く、簡単な方法です。
他人の朝礼を客観的に見ることで、勉強になることも多いと思います。話す内容はもちろんですが、声の大きさ、言い回し、視線の位置なども参考になるでしょう。