fbpx
建設

元ゼネコン設計者が語る!鉄骨造(S造)について 《設計者目線の鉄骨造の魅力》

鉄骨造(S造)と言えば一般住宅や事務所のような比較的小規模の建物から、高層ビル、大型ショッピングセンターなど、幅広い建築物に対応する優れた構造です。

有名なS造の建物と言えば、ニューヨークのエンパイアステートビルやワールドトレードセンター。
ドバイの超高層ビル、ブルジュ・ハリファ。

日本では東京スカイツリーやあべのハルカス、その他たくさんの美術館や学校、駅など各種施設の建築物の構造となっています。

 

【高層ビルの鉄骨構造】

鉄骨構造と言っても、高層ビルとなると杭を含めた下層部はRC造としていたり、

主要な柱や梁をSRC造としたりCFT構造としたり、様々な構造の組み合わせで構成されています。

高層ビルの場合は風や地震などの揺れに対しての柔軟性が大きな問題となりますが、鉄骨構造自体は元々揺れには弱いです。

しかしフレームの組み方や構造、使用する耐震補強部材などにより躯体の強化を。免震・耐震装置などにより、耐震性を保っています。

なので高層ビルのように様々な構造が混合した建物では、構造計算がとても大変そうですね・・・

 

【小規模建築物の鉄骨構造】自由度が高過ぎる構造体


一般住宅ではやはり木造住宅が1番多いですが、自由な形と間取り、一風変わった外観を望む場合はRC造、S造とする住宅も少なくありません。

近年は耐震性を重視し、こういった剛構造を選択する場合も。

RC造よりも自由度は高く、柱や梁自体もRC造ほど大きくならないので間取りの邪魔をしない。

事務所や倉庫、工場などでは、設備や機械、棚などを入れる為の広いスペースが多く取れる。

なんて便利な構造体!!

と思いきや。

意外とこの自由度が設計者にとってはネックになる事もしばしば。

 

ゼロからの間取り決め

木造やRC造の設計の場合は、柱や梁の位置を最初に設定します。

特にRC造の場合は柱や梁が大きいので間取りにかなり影響します。

そして柱や梁に沿って壁を設置していく。

しかしS造の場合は柱の位置がある程度調整可能という点から、私は間取りをある程度決めてから、それに合わせて柱の位置を決めていく、という順序で設計していました。

これがS造の魅力であり、難しい所でもあります。

自由度が高過ぎて設計しにくい!!

と言うのも、木造やRC造は柱に合わせて間取りをパズルのように当てはめていたので、間取りのパターンがそこまで多くはならないのです。

しかしS造の場合は設計の段階で柱自体の位置をある程度動かせてしまうので、壁を置く場所に制限がなく、各部屋の寸法も形も位置も自由。

その為、如何様にも設計出来てしまい、どこから何をどう設計していくかを迷ってしまう訳です。

設計者にとっての鉄骨造のメリット


とは言え、最初の取っ掛かりが悩ましいだけであって、やはり
比較的設計しやすい構造体だと思います。

構造計算も住宅や事務所などの規模でしたら難しくはならないですし、単純に躯体で箱を作るような設計であれば、建築確認申請も工事もとてもスムーズ。

 

例えば事務所ビルなどでは、エレベーターや階段、廊下やトイレ、給湯室など必要最低限の設備と部屋だけ設置し、あとはがらんどうの広いワンルーム。

間仕切りや建具は後々用途に合わせて設置する。

貸事務所などはこういった設計も多いですが、設計も含めて工期がとても短く済みます。

 

使う材料が出来栄えを左右する!?


S造はRC造に比べて耐震性や防音性、耐力年数などが劣り、木造に比べて吸湿・除湿、換気性や保温、快適さで劣るというイメージもあったりしますが、それはもう昔の話。

鉄骨自体の素材や性能は大きくは変わりませんが、補強する部材や他構造との組み合わせ、耐震や免震装置の導入などで耐震性や風揺れ対策は大きく進歩しています。

また断熱材や外装・内装材が機能的になった事で、保温吸湿断熱性にもかなり優れています。

外観も木造建築のような温かみを持たせたり、反対に鋼板やコンクリートの無機質な雰囲気を出したりと、使う材料で色んな雰囲気に。

 

まとめ

S造は部材同士をボルトで留める構造の為、どうしても接合部が弱いイメージでしたが、

補強部材の進化により、S造の弱点が大きく改善されています。

 

設計と施工の自由度が高い一方で、施主の要望をうまく設計上にまとめる、設計者のセンスも問われます

 

また耐火性能や、外装材頼りの防水性など、まだまだ他の躯体と比べた場合のデメリットも少なくありません。

 

近年は災害などによって建物の頑丈さなどが見直されるケースが多いですが、災害が起きてしまってからでは遅いのです。

 

建物の何を1番重要視するのか。

この要望をまず拾ってあげる事が設計者にとっても重要な事なのでしょう。